バラライカねずみのトラブロフ
なんか忘れた頃にねずみ本です。バラライカねずみのトラブロフ ジョン バーニンガム著、瀬田 貞二翻訳、1,470円(税込)、1998年に童話館から刊行。
今年の1月にお正月だから干支のねずみにちなんだ本を紹介しようと思ったら、あまりにたくさんあって1ヶ月間では紹介しきれずに、そのままずるずると引っ張っていた。さすがにクリスマスも近づいてきて、最近はねずみ本どころではなくなかったのだが……。
ところがびっくり、14日の朝日新聞夕刊の「絵本の記憶」で、チチ松村さんがこの「バラライカねずみのトラブロフ」を紹介していたのだ。私もこの絵本を持っており、ねずみ本特集で紹介しそびれたままになっていたので、この機会に登場!
中欧(と思われる。バラライカだけどロシアというわけではなさそう)の雪が降り積もる冬のこと。宿屋に住み着いているねずみのトラブロフは、ジプシー楽団の演奏する音楽にききほれ、バラライカを習うために家出して、楽団と一緒に旅をする。そこへ妹ねずみがやってきて、お母さんが病気になったと知らせる。トラブロフは妹と苦難の旅をして家に帰り、やがて兄弟たちとバンドを結成して宿屋で演奏し大評判となる……というストーリーなのだが、やはり、バーニンガムの絵が素晴らしい!
バラライカ、旅のジプシー楽団、雪原をゆく橇などが醸し出す異国情緒が、ヨーロッパの冬の陰鬱さと、ジプシー音楽の情熱と、雪の色を表現しているような、グレーと赤と白を基調に、シャガールの絵のような幻想的な色彩で、ダイナミックに描かれている。その中で、チチ松村さんも絶賛するジプシー楽団のおじいさんの哀愁漂う表情とか、音楽に魅せられてしまったトラブロフの姿とか、なんともいえない味があって、見飽きることがない。
冬の日曜日の夕暮れ、温かいロシア紅茶でも飲みながら、読んでみたい絵本だ。天井裏や壁の中から、「黒い瞳」とか「トロイカ」などのロシア民謡を弾く、トラブロフのバラライカの音が聞こえてくるかもしれない……。
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