« 『ラグビー愛好日記 2―トークライブ集 (2)』 | トップページ | ヨークの冬に読みたくなるであろう本 »

長岡京市の書店巡り

 9月13日に仕事で出かけた京都府長岡京市。今回初めて訪れたのだが、仕事の合間を縫って、書店巡りを……と企んでいたのだけど、時間がわずか90分弱くらいしかなく、3軒しかまわれなかった(詳しくは「本と本のあいだに」で!)。書店巡りと言うのもおこがましいが、3軒の書店と、そこで出会った本についてご紹介します。

 いつも旅先での書店巡りでは、本との出会いそのものを大切にしたいので、あらかじめ何を買うというのは決めていない。どんな本に出会えるかというのも、行ってみないとわからないし……。どうしても気に入った本がなかった時には、記念として文庫本で古典を1冊だけ買ってくることにしているが、時としてこれを選ぶのに時間がかかり、短い時間をやりくりしての書店巡りだと、時間のロスに後悔することも多い。
 今回は特に時間がないことと、そもそもの旅の目的が「竹」の取材であることと、長岡京市は「かぐや姫」ゆかりの土地ということもあり、竹と『竹取物語』に関する本を買おうと前もって決め、リストを作って出かけた。

51xjtyzgnl_ss500_ お恥ずかしいことに、『竹取物語』は「かぐや姫」の物語という程度の知識しかなく、学校の古典の授業で少しは勉強したはずだが、何も覚えていない。これを機に『竹取物語』をきちんと読むのもいいことだと、Amazonで『竹取物語』を検索したら、実に多くの訳が出ていることに驚いた。今回は校注本と絵本を除いた訳本の文庫のリストを作り、単行本は江國香織文『竹取物語』(新潮社)か、やはり新刊で京都在住の森見登美彦のエッセー『美女と竹林』(光文社)を買うと決めた。どちらも2008年8月25日刊行で、新聞広告も出ているし、小さな書店でも人気作家の新刊だったら置いてあると思ったのだ。

 最初のお店は阪急長岡天神駅前の文京堂書店天神店。典型的な駅前の小さな書店造り(?)のお店で、週刊誌と文庫本が多く、新刊の単行本は少ないが、京都関連のガイドブックやエッセイなどが充実していた。
 森実登美彦の作品は『【新釈】走れメロス』(祥伝社)があったが、『美女と竹林』はなく、江國香織の『竹取物語』もなかった。では、文庫本を買おうと思ったのだが、こちらもリストにあった本の中で見つけられたのは星新一の『竹取物語』(角川文庫)のみ。SFの星新一が古典を現代語訳しているとは意外だったが、よくよく考えれば「かぐや姫」は月の住人で充分SF的なお話なのだ。あとがき、著者自身による解説、各章には著者の補足も付いていて、巻末には脚注付きの原文も載っており、とても丁寧にできている。本文のイラストは片山若子。188ページで438円(税別)。
 本文については、今回の書店巡りとは別に、各訳文を紹介する『竹取物語』特集をやろうと思っているので、その時に加筆します。

 雑誌コーナーに面出しで「Lmagazine」の10月号があり、とても雰囲気のある表紙に「特集 絵本のチカラ」とあったので買いたかったが、これから書店巡りをするのだがら荷物がどれだけになるかわからないので、大型本は最後に買うことにする(結局、そんな時間がなくてこの日は買えず、そのままになっていたことを今、思い出し、ネットで注文したところ!)。

416s5u6acwl_ss500_ 次は同じ文教堂書店の長岡店へ。こちらは天神店より店舗が大きく、やはり雑誌と文庫が主体だが、棚がずっと多く、新書も充実している。近所の本屋さんでこのくらい雑誌や文庫が充実していたら、嬉しい。新刊の文芸書も文庫と同じくらいの充実さがほしいところだけど。
 ここで『美女と竹林』を見つけ、購入。1,680 円(税込)。江國・竹取は置いていなかった。
 文庫の棚は前述のとおりかなりの品数を揃えてはいるが、リストにあるものがない。「角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス」もずらりと揃っているのに、なぜか『竹取物語』だけが抜けている。岩波文庫は置いていないとのこと。
 文京堂書店のブックカバーは天神店も長岡店も白地にグリーンで「Book Museum」のロゴがデザイン化された爽やかなデザイン。緑色は長岡京市に多い竹林をイメージしたものか? どうせなら、竹や『竹取物語』の本を特集した棚を作り、地域興しの一助としたらいいのになどと思うのだが……。児童書コーナーにもかぐや姫は見あたらず、残念。Book Museumと自ら名乗るからには、それだけの棚作りをぜひぜひ!

 文京堂書店はもう1軒、今里店があるが、今回は時間切れ。次の予定があるので、JR長岡京駅前まで行く途中にあるヨドニカ文庫に寄ることにする。ヨドニカ文庫は、京都府古書籍商業協同組合のHPで見た限り、長岡京市内で唯一の古書店。古書店どっさりの京都市がお隣にあるからなのか、それにしても1軒だけとはちょっと、寂しい。
 ヨドニカ文庫についた頃はちょうど午後1時でお日様が頭上で燦々と輝いていた。歩いてきたので汗は噴き出すし、日差しがあまりにも強くて、お店の前に段ボールごとにたくさん置かれている本を見るのも眩しい。お宝探しになかなか集中できない。時間もあまりないし、暑いし……。と、その時、見つけてしまいました『名作挿絵全集4 昭和戦前・少年少女篇』! 
Sasie1 画集や写真集などが入った段ボールに、明治篇から昭和戦後・現代小説篇まで、平凡社が1979年に全10巻で刊行した挿絵全集の中の1冊が、ぽつんと置かれていた。A4サイズのハードカバーで段ボールの函入り。
 箱の挿画が山口将吉郎の武者絵「雄叫び」(昭和2年の「少年倶楽部」の口絵)で、伊藤彦造の鞍馬天狗や高畠華宵の少年の絵などもちらっと見えるのだが、どうも昔の美少年チックな絵は苦手。最初は見過ごしていたのだが、「目で見る懐かしのメロディー」とコピーが書かれている黄色い帯に、初山滋と武井武雄の名前がのっているではないか!
 いそいそと函から出してみると、中原淳一の「花日記」や初山滋の「未明童話集」、武井武雄の「あるき太郎」がしっかり収録されているし、岡本帰一や村山知義も取り上げられている。評論も松田道雄の「『コドモノクニ』の画家と思想」をはじめ、充実の執筆陣。残念だったのは、中原淳一の絵がカラーもモノクロも数多いのに、松本かつぢはモノクロで半ページほどしかなかったこと。かつぢファンとしてはあまりにも物足りないが、しかたがない。
 函は経年で少し傷んでいたが帯付きだし破れはなく、本の中面はとてもきれいだ。定価2000円のところ、函の角に800円と鉛筆で書かれていた。こういう全集があることも知らなかったし、これは私にとって掘り出し物のお宝。かなり重そうだが横浜まで持って帰らなくては。
 店内に入ると外の暑さが嘘のように涼しく、古書がびっしり並んでいる。時間があればじっくり見たいところだが、今日のところはこれでがまん。また今度、必ずゆっくり来ようと思いつつ支払をすませると、本を入れてくれたレジ袋には「第32回秋の古本まつり」と印刷されている! 京大の近くの百万遍にある知恩院の境内で、毎年秋に開催される青空古本市は一度、訪れてみたかったのだ。レジ袋の中には可愛らしいイラストが描かれたチラシまで入っている。10月30日から11月3日まで……秋の京都は楽しいことばかりあって、誘惑に勝てそうにない! どうしよう???
 ということで、帰宅してからも秋の古本まつりのチラシは、今も仕事場の机の上に置かれ、毎日、私を誘惑中。

|

« 『ラグビー愛好日記 2―トークライブ集 (2)』 | トップページ | ヨークの冬に読みたくなるであろう本 »

書店巡り」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 『ラグビー愛好日記 2―トークライブ集 (2)』 | トップページ | ヨークの冬に読みたくなるであろう本 »