「被災地へ絵本を送ろう」一覧表を更新

 ブログの右サイドバーにある「被災地へ絵本を送ろう」のプロジェクト一覧ですが、現在は絵本の募集を終了していたり、一時停止しているところが多くなってきましたので、整理して、現在も募集中のプロジェクトを掲載しました。また、本の募集を終了したあとで、集まった本を収納する本棚や、本を車に乗せて移動文庫などの活動を行うための寄付金を募っているプロジェクトなども掲載しました。

 絵本ナビの被災地支援プロジェクト「絵本エイド ―こころにひかりを―」では寄贈本の受付は終了しましたが、下記の支援が2012年3月末まで実施されています。私も少しだけポイントがたまっていたのですが、寄付できるのが3月までだとうっかり忘れてしまいそうなので、さきほど、寄付をしてきました。ネットですぐにできるので、助かります。

大反省

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 なんと、2011年のクリスマス特集は今までの中で一番だめだめな更新になってしまいました。スミマセン……coldsweats02。画像データだけアップして、紹介文は遅れに遅れ、やっとさきほど最後の一文をアップしました。あまりにも無計画だったと、反省しております。

 改めてクリスマス本特集を読み直してみると、誤字脱字をはじめ、編集ミスも多く……これから訂正していきますので、お許しくださいませ!

 ご紹介した本は、ここ数年、絵本ばかりだったので、大人向けの書籍も数冊ですが、ご紹介しました。また、少しずつですがコレクションしている古い人形絵本について、クリスマスをテーマにしたものをご紹介できたことは、個人的にとても嬉しいことでした。毎年12月24日にご紹介することにしているムーアの『The Night Before christmas』も、自然と何冊か集まってきて、これからもコレクションできればと思っています。

 ご紹介した本は、どれもお気に入りのものなので、とても愛着があるのですが、特に古い洋書や人形絵本は、こうして今、自分の手元に来るまで、それぞれの物語があったのだろうと思うと、愛おしさもひとしおです。大切に保存しなければ。

 2011年は「本どころではない」日々もあり、「本に救いを求めた」日々もあり、本の持つ力を改めて感じた年でもありました。2012年も新旧いろいろな本を手に取っていこうと思っています。どうぞよろしくお願いします。

ミニ クリスマス

Pc250186  2011年のクリスマス本特集、最後にご紹介するのは、可愛い型抜き絵本が5冊セットになった『ミニ クリスマス』。ドン・ボスコ社というキリスト教系の出版社から2004年に初版が刊行されている。

 『サンタさんありがとう』 『ほしのこもりうた』『サンタさんのそり』 『ゆきだるま』『サンタクロースと小びとたち』 の5冊の型抜き絵本は、それぞれ1999年から2002年にかけて刊行されているのだが、それよりも一回り小さいサイズのミニ型抜き絵本をセットにして特製ボックスにいれた『ミニ クリスマス』が2004年に刊行されている。今年の12月になってから、ネット書店を検索して偶然、『ミニ クリスマス』にたどり着いたのだが、まず、そのかわいらしさに一目惚れ。親戚の小さな子どもへのクリスマスプレゼントにしようと購入を申し込んだのだが、その時点で売り切れだった。

Pc250194 とりあえず次の入荷を待って予約しておいたのだが、クリスマスぎりぎりになってやっと入手することができた。赤い取っ手つきの箱をあけると小さな型抜き絵本が5冊入って、プレゼントを開けたときの子どもの喜ぶ顔や歓声が想像できて、こちらまで幸せな気分になってしまった。ボードブックなので広げて置くこともできるから、オーナメントとして飾ることもでき、お得感たっぷり! 広げてみると、写真のような感じ。

 増刷の量が少ないようなので、Amazonではすぐに売り切れてしまったが、ドン・ボスコ社のホームページや絵本ナビで購入することができる。

Pc250187_2 1冊が5つのシーンになっていて、とても小さい本だから文章は短く、絵に添えたキャプション的なもの。5冊は明るいトーンの優しいタッチの絵で、同じ作者と思っていたら、3人の画家が描き分けていた。G・マンテガッツァ文/R・パニョーニ絵が、『サンタさんありがとう』。E.デ・ピラト文/A.クルティ絵が、『ほしのこもりうた』『サンタクロースと小びとたち』(クリスマスツリーの型抜きになっている)。 G・ガヴィエゼル文/R・パニョーニ絵が『サンタさんのそり』 『ゆきだるま』。

The Night Before Christmas★その4

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 クリスマス・イブ当日のご紹介は、The Nitghe Before Christmas シリーズの中でも一番気に入っている、私の宝物絵本をご紹介。1963年にフレーベル館から出版された人形絵本『サンタのおじさん来てくれた』。1967年には英語訳の洋書版が輸出され、アメリカのCROWN PUBLISHERS, INC.から出版されている。

 私は2、3年前から古い人形絵本に夢中なのだ。人形絵本というのは、物語に合わせて人形と人形のサイズに合わせたミニチュアの装置を舞台のように設置して写真撮影したものを絵本に仕立てたもの。アニメーション映画のワンシーンを絵本にしたフィルムブックとは違って、絵本だけのために作られたもので、1950年代から60年代頃にかけて、トッパンの人形絵本として大流行した。

 この絵本の仕掛け人は、作家の飯沢匡と画家の土方重巳で、CGなどなかった60年前に作られたこれらの人形絵本は、すべて手作業で作られている。人形は川本喜八郎、辻村ジュサブロー、与勇輝、紙谷元子など、後に日本を代表する人形作家となった人々の若き日の作品だ。衣裳や装置も綿密な時代考証のもと、驚くほど精緻なものが作られている。そしてなにより、絵本そのものがキュートでとにかく可愛いのだ! 人形絵本のビジュアル面をすべて手がけていた土方重巳のセンスには感嘆するばかりである。

 人形絵本の説明が長くなってしまったが、改めて『サンタのおじさん来てくれた』のご紹介を。フレーベル館からは「トッパンの人形絵本」シリーズとして1960年代に40冊の人形絵本が出版されているが、定価は100~120円。この人形絵本は200円と少々高価だが、表紙は柊の飾り罫で華やかに飾られ、見返しには「ジングルベル」の譜面も印刷されている。人形の衣裳や装置も豪華だ。人形と装置のデザインはもちろん土方重巳で、人形製作は辻村ジュサブロー。原作はムーアの詩だが、構成と文を担当した飯沢匡は、最終ページに次のように期している。

 この原詩は、前世紀のアメリカの作品で、今日の日本のこどもたちには理解できぬ点もありますので、かなり自由に訳したことをお断りします。(飯沢)

 この注意書きとおり、例えば日本ではあまり馴染みのない子どもたちの「sugarplums dannce」の夢とか、両親のナイトキャップなどの日本語訳はどうなっているのか、いつも興味を持っているのだが、ここでは見事に省略している。だが、韻文調の詩情豊かな訳がクリスマスの楽しさ、サンタクロースの不思議さを上手く表現していて、まだ家庭行事としてのクリスマスについて情報が少なかった当時(なにしろ、お父さん向けのキャバレーでのクリスマスというのが盛んだった時代なのだ!)に、19世紀後半のアメリカの上流家庭のクリスマスの雰囲気をよく伝えている。そして、人形の衣裳や装置の見事なこと! なにしろ、クリスマスツリーの飾られている部屋のドアーが半開きになっていて、ドアーの向こうの廊下の壁や床まで、きちんと作られているのだ(ストーリー上ではドアーを半開きにする必要性はないのだが、半開きにすることで家の奥行き感が出て、室内装飾にもリアル感が醸し出される)。表紙のサンタクロースが入ろうとしている煙突の古煉瓦や積もった雪まで、とにかく凝りまくっている。もう、絵本の隅から隅まで何一つ見逃さないぞと、いつまで眺めていても飽きない絵本なのだ。

 大好きな人形絵本とクリスマスの組み合わせ……まさに、私にとっては正真正銘の宝物ですheart04

2011christmas0002  もう1冊の人形絵本『CHRISTMAS SONNGS AND VERSE』は1971年にニューヨークのGROSsET & DUNLAP Publishersから出版されたもの。今年の秋に都内のギャラリーで開催されていた人形展で売られていたのだが、土方重巳のデザインではないようなので、一瞬、買うかどうか迷った。でも、クリスマスの人形絵本は珍しいかもしれないと思って、ついでに買っておいた(すでにギャラリーで飯沢・土方コンビの人形絵本を何冊も買いこんで予算オーバーしていた私は、金銭感覚がいささかなくなっていた……今冬のコートは買えないなぁと、ちらっと思ったことは内緒!)。

 あまり期待していなかった人形絵本だったのだが、帰宅してから中を開いて驚いた! ムーアの名前はどこにもでていないのだが、VERSEはThe Night Before Christmasで、その他にクリスマスソングの譜面がいくつか付いている。そしてPictures by T.IZAWA and K.KAWAMOTOとなっていたのだ。つまり、飯沢匡の構成で人形とデザインは川本喜八郎が手がけていたのだ。洋書版の場合、ほとんどがPictures by IZAWA and Hijikataであり、たまにプロデューサーとしてIZAWAの名前だけのこともあるが、人形作家の名前が記載されていることはまずない。ほとんどの場合、同じ内容の日本語版の奥付を見て人形作家を知るのだが、この絵本に限っては川本の名前が出ていた。なんらかの事情でデザインも川本が担当したのだろう。『サンタのおじさん来てくれた』の表紙と見比べても、かなり雰囲気が違うし、人形の衣裳や室内の装置なども、こちらのほうが大人っぽく豪華な作りになっている。ただ、サンタクロースからのプレゼントは『サンタのおじさん来てくれた』に使われていたのと同じテディベアや汽車やラッパのおもちゃなどが『CHRISTMAS SONNGS AND VERSE』にも使われていて、そんなところを見つけるのも、コレクターの密かな楽しみである。

Gingurubell  最後にもう1冊、クリスマスをテーマにした人形絵本をご紹介しよう。飯沢・土方コンビニよる人形絵本がブームになっていた頃、エンゼル社から人形絵本のシリーズとして、エンゼルブックが出版されていた。残念ながら、エンゼルブックには出版年が記載されていないのだが、トッパンの人形絵本とほぼ同時代と考えられているようだ。このシリーズの20作目が堀尾青史・文/たくみ工房・美術/酒井善衛・撮影の『ジングルベル』。

 クリスマスの行事も、いまはすっかりおなじみになってしまいました。宗教的な意味を別にしても、よい心とよいおこないに対しては、かならず、果報があると信じたいし、また、そうあらねば不自然だと思います。よい子にはよいおくりものとして、この絵本をつくりました。(裏表紙のかいせつより)

 すっかりおなじみといっても、今から約半世紀前の当時も今も、日本のクリスマスでおなじみなのは、日本特有のデコレーションケーキやプレゼントなのだろうが、サンタクロースやクリスマスツリーなども風俗としては定着していたのだろう。

 『ジングルベル』には、世界の童話 北欧童話のサブタイトルが付いているが、特定の国の物語ではないようで、「かいせつ」にあるように、クリスマスの前の晩、迷子の子犬を助けた3人の子どもたちにサンタクロースがプレゼントをもってきてくれるというお話。サンタクロースはムーアの詩の一節から抜け出てきたかのようなたたずまいだ。北欧童話といっても、ジングルベルはもともとアメリカの歌だし、子どもたちは黒髪に黒い瞳で日本人のようにも見えるし、全体に衣裳も装置も土方デザインのような綿密な考証は感じられない。でも、「ちょっと安っぽい」と言ってしまうと身も蓋もないのだが、絵本全体から滲み出てくる“なんとなく洋風”とでもいうような和洋折衷感が、昭和レトロ好きにはたまらない。子どもたちも子犬も、プレゼントの人形やぬいぐるみも、昭和ぽさ100%(当たり前だが……)で、“ザ・ノスタルジー”とでも名付けたくなってしまうような、愛しい人形絵本である。

The Night Before Christmas★その3

2011christmas0005  アーサー・ラッカムの絵とは対照的な、太った陽気で親しみやすいサンタクロースに再登場してもらおう。再びA Little Golden Bookにもどるが、昨年紹介したCorinne MalvernのThe Night Before Christmasより先に1946年に発行されているのが、CORNELIUS DeWITTの『The Night before Christmas』だ。私の持っているA Little Golden Bookのビンテージものの中でも、もっとも古い本である。

 1946年という、第二次世界大戦が終わった翌年のクリスマスに作られた絵本だからか、その数年後に描かれたCorinne Malvernの絵本と比べると、クリスマスらしい華やかさやゴージャスさとは無縁の、本当に質素な絵本だ。Corinne Malvernの『The Night before Christmas』は初期のものは印刷にも通常の4色に金色をプラスしてあるので色鮮やかで、全ページが華麗な飾り罫で囲まれている。サンタの顔も晴れやかで、橇もデコラティブなデザインだし、トナカイの飾りも豪華だ。サンタが訪れる家の内装も、家族の衣裳も豪華なお金持ち風。それに比べて本書は色もおとなしめだし、家の様子も質素だ。印刷は4色の水彩とモノクロの線画が半分ずつ……ほんの数年でも、時代の空気や経済状況が反映されたのだろう。

 だからといって、CORNELIUS DeWITTの『The Night before Christmas』がつまらない絵本ということではない。モノクロの線画の多くは夜空を疾走するトナカイの橇が描かれているのだが、風に木の葉が舞うさまなどが描かれていて、スピード感のある迫力だ。白いトナカイたちも優しげな顔つきで品が良い。そしてにっこり笑って去って行くサンタクロースの満面の笑顔。ささやかな絵本の中にクリスマスの祝祭気分が満ちあふれている。

 何より、65年も前の小さな絵本が人から人へと伝えられ、海を渡って日本に来たことを思うと、大事にされたこの絵本が愛おしくてしかたがない。

The Night Before Christmas★その2

51mig81u2sl__sl500_aa300_ アーサー・ラッカムの 「The Night Before Christmas」といえば、2006年に『アーサー・ラッカムたちのサンタクロース』を、2010年にはツリー用オーナメントのミニブックにまつわるあれこれで紹介済みだ。

 そのアーサー・ラッカムの膨大な作品をあらすじとともに収録した上下2巻が、今年、新人物往来社から『挿絵画家アーサー・ラッカムの世界』として刊行されている。

『グリム童話集』『マザー・グース』から『クリスマス・キャロル』まで名作140点をあらすじ付きで楽しもう!収録物語数を大増量した大好評シリーズ第二弾。

 上巻は『不思議の国のアリス』『ケンジントン公園のピーター・パン』『真夏の夜の夢』『ニーベルングの指輪』などの挿絵180点、下巻は『グリム童話』など140点が掲載されている。この下巻の中に、「クリスマスの3つの話」として、『マッチ売りの少女』『クリスマスキャロル』そして『クリスマス前夜』のタイトルで「The Night Before Christmas」の挿絵が4点掲載されている。

 この挿絵は1931年に描かれている(『サンタクロース・オリジナル』末尾の松本富士男「はじめのサンタは小人だった」より)が、デュボアザンやイングペンのサンタクロースのようにまるまると太ってはいない。赤い服に赤い帽子を被ってトナカイの引く橇に乗っているが、“ちいさなおじいさん”と呼ばれているように、やせていて妖精のイメージが強いサンタクロースだ。

 もともとムーアの詩で「顔は大きく、丸くつきだした小さな下腹は、笑うとゆらゆら揺れてゼリーの入ったボールのよう」(フェリシモ文化研究所『Christmas Gallery SANTACLAUS サンタクロースとその仲間たち』より)と描かれているので、太った小人のイメージだったのだろう。さらに、トマス・ナストガ19世紀後半に描いたサンタクロースはまるまると太っていて、これが大評判になり、有名な「サタデー・イブニング・ポスト」誌に描かれたノーマン・ロックウエルや、コカコーラの広告に描かれたハッドン・サンドブロムの威風堂々たるサンタクロースが現在のサンタクロースのイメージを決定づけたようだ。

 その中で古典的というか中世的というか、幻想的な画風のアーサー・ラッカムらしいサンタクロースが描かれているのが「クリスマス前夜」といえるえだろう。コカコーラのン他クロースが描かれたのと同じ1930年代の絵とはとても思えないところが面白い。

 この上下2巻の挿絵集、アーサー・ラッカムの世界を楽しめ、『真夏の夜の夢』や『ニーベルングの指輪』のような長編のあらすじを手軽に知ることができる。クリスマスプレゼントなどにいかがだろうか。もっとも、アーサー・ラッカムの絵は怖いという人にはダメだけど……。

The Night Before Christmas★その1

 ここ数年、このクリスマス本特集のイブの本は、 いろいろなイラストレーターによるクレメント・ムーアの詩「The Night Before Christmas」 をご紹介しているが、今年は新旧様々な「The Night Before Christmas」の絵本が揃ったので、イブまで数回にわたってご紹介していこうと思う。

 まず、日本語訳の新刊が今年は2冊出版された。

 ロジャー・デュボアザンの絵本はひな祭り特集のときに『マリーのお人形』をご紹介しているが、1954年にアメリカで出版された「The Night Before Christmas」が、『クリスマスのまえのよる』のタイトルで、今秋、主婦の友社から刊行された。訳は、こみやゆう。

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トナカイのそりに乗ったサンタクロースのイメージは、19世紀初頭(1822年)に書かれた詩がルーツ。デュボアザンの味わい深い絵で、宝石のようなクリスマス絵本に!

クレメント・C・ムーアは、アメリカの神学者。いまから188年も前の1822年のクリスマス、病気がちだった娘を笑顔にしようと、この詩を書きました。いまでは世界中の常識ともなった、赤い服に白いひげ、ちょっと太った笑顔のサンタクロースのイメージは、この詩によって世界中に知られるようになったのです。絵を描いたのは30年ほど前に亡くなった人気絵本作家のロジャー・デュボアザン。斬新でモダンな色使いとあたたかなタッチで、この絵本がアメリカで人気を博したのは1954年のことです。イブの夜にプレゼントをいれるくつしたに入るようにとデザインされた縦長サイズで、まさにクリスマスプレゼントのための絵本。日本でこれまで紹介されていなかったことが、奇跡のよう。宝石のようなクリスマス絵本を、ぜひ、愛する人への贈り物として!

縦長のユニークな絵本(装丁は川名美絵子)で、わざと版ずれのようなレトロな雰囲気を漂わせた印刷、色光と色材の3原色である、赤、緑、青、黄色の強烈な印象を残すカラーページと赤と黒の2色刷りのページを交互に配している(こうすると印刷代がいくらか押さえられる)。赤色のバックに赤い服に赤ら顔のサンタクロース……こう描くとぎょっとするような色彩と思われるかもしれないが、これが実に品よく、かつ個性的で面白い。縦長の装丁はサンタが出入りする煙突や室内の大きなツリー、そしてトナカイが引く橇の空高く跳ぶ躍動感が強調されて面白い。

51jfn5ttel__sl500_aa300_ もう1冊の新刊は、西村書店から『聖ニコラスがやってくる!』のタイトルで出版された。

1822年のクリスマス・イブ、子供たちの前で一篇の詩が読まれました。それは翌年12月に、作者名のないまま新聞に載り、やがて世界じゅうにひろまりました。そしてこの詩から、今のサンタ・クロースのイメージができあがったのです。有名な詩に、国際アンデルセン賞受賞画家の魅惑的なイラストがついた絵本、本邦初の韻文訳で登場。

 オーストラリア生まれで国際アンデルセン賞受賞画家のロバート・イングペンの絵と英文学者の柳瀬尚紀による本邦初の韻文訳がを強調した1冊。イングペンの絵本は初めてなのだが、あまりにも精緻でリアル、表紙のサンタクロースの笑顔も小さな子どもには怖いかもdespair。余白の使い方などさすがで、画集を見るような風格のある絵本だ。韻文訳というのも、より原作の詩の味わいに近いと思うし、詩情溢れる美しい言葉は、子どもに読み聞かせてあげるのにもよいと思う。

シャープナーブックでクリスマス!

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 Little Golden Bookと同じGolden Press社から発行されているリチャード・スカーリーの 『The Santa Clous book』は、A GOLDEN SHAPE BOOKと呼ばれる型抜き本。型抜きほんというとボードブックを思い浮かべてしまうのだけれど、このシリーズはソフトカバーのホッチキス留めで、中面の紙も通常のLittle Golden Bookと同じ薄い紙だが、立てかけることはできるので、これもクリスマスグッズとして飾ることができる。

 内容は、昨年のクリスマス本で紹介したスカーリーの『Christumas Mice』と同じなので、ちょっとびっくり。というか、去年、しっかりとオリジナルは1965年の『The Santa Clous book』と書いてありましたdespair。こちらは46年前の本だが、やはり保存状態がよく、デッドストックだったのかもしれない。『Christmas Mice』は1992年にリニューアル版として発売されていて、私のもっているのは2004年版なのだが、2冊を比べてみると、インクの色合いの違いに驚いてしまう。2004年版はデジタル処理されていると思うか、やはり、古い 『The Santa Clous book』のほうが、より原画に近い手作り感が伝わってくる。

 表紙のサンタクロースの顔は『My christmas Book』の表紙のサンタクロースとよく似ているのだが、約10年後に作られている『The Santa Clous book』のサンタは眉毛が白くなっていて、白髪の前髪が少し見えているなど、年月の経過を表す細かい工夫がほどこされている。

Kirinuki2  同じ1965年発行の型抜き本『THE REINDEER BOOK』は、『The Santa Clous book』のおまけのようなかんじで、同じネットの絵本専門古書店で表紙だけを見てついでに買ったものなのだが、中をみてみるととても素敵な絵柄で、一目で気に入ってしまった。

 作者はAurelius Battagliaという人で、北欧のフォークロア調の絵が個性的だ。版画の手法をとりいれているのかもしれない。トナカイだけでなく、サンタクロースや橇もおしゃれで素敵。クリスマスイブのサンタの橇の様子が描かれている。

A LITTLE GOLDEN BOOKのクリスマス

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 アメリカらしい絵本といえば、 A LITTLE GOLDEN BOOK。その中から、私の大好きなリチャード・スカリーのクリスマス絵本を2冊、ご紹介しよう。いずれも50年以上前の古書なのだが、保存状態がたいへんよく、古書ならではの柔らかくしっとりした紙や印刷の風合いが好ましい……と、一人ご満悦。今年のクリスマスに自分へのプレゼントとして購入した。

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 まず、『My Christmas Book』は1950年初版だが、私の持っているのは1957年の2nd Edition。ただし、スカリーの絵は表紙だけで、中面はSheilah Beckettが描いている。こちらもなかなかキュートな絵だ。内容はクリスマスにまつわる詩やお話、歌の譜面などのクリスマスづくし。スカリーの本だと思って買ってしまった人は、中面を見て絵が違うので驚いてしまうかも。でも、表紙をみているだけでクリスマスの楽しさが伝わってくるし、インテリアとして飾ってクリスマス気分を盛り上げるのもよいと思う。

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 『The Chipmunks' Merry Christmas』は1959年初版で、私のは同年の2nd Edition。すぐに増刷されたということで、発売当初も大人気だったのだろう。シマリスの3兄弟Simon、Alvin、Theodoreのお話で、フクロウ先生が兄弟たちにクリスマスの歌のお稽古をするのだが、Alvinは逃げ出して森の中をうろちょろしている。SimonとTheodoreはクリスマスプレゼントに飛行機のおもちゃやフラループが欲しいと歌い、クリスマスに願い通りのプレゼントを貰うのだが、Alvinのプレゼントは? Alvinが森に行っていたことがプレゼントのヒントになるのだが、とにかくシマリス兄弟だちが可愛らしい。表紙のイニシャルをつけた洋服のなんておしゃれなこと! この本も保存状態がよく、大切に扱われてきた本ということが伝わってくる。

すばらしきかな、人生!

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 わたせせいぞうのコミック「サンタのボタン」シリーズは国籍不明の街の出来事だが、やはりあの絵柄とサンタクロースの設定は、アメリカン・コミックの雰囲気を感じる。

 2006年にあすなろ書房から刊行された 『すばらしきかな、人生! It’s a Wonderful Life for Kids! 』は、正真正銘のアメリカン・コミック調のイラストが印象的なクリスマス絵本だ。

アメリカ映画の名作「It’s a Wonderful Life」をもとにして書かれ、アメリカではクリスマス映画の定番として親しまれている物語の絵本。人はみな、だれかを支え、だれかに支えられて生きている…。

 表紙カバーの袖に書かれている制作スタッフの紹介文によれば、4歳とのとき、この映画でトム・ベイリー役を演じた俳優のジミー・ホーキンズは、映画が封切られて60年となるのを記念して本書を執筆したそうだ。1946年に封切られた映画はあまりにも有名で、テレビでも繰り返し放映されたし、リメーク版も各国で作られている。本書はクリスマスの晩の出来事を描いた映画にオマージュを捧げた、スピンオフのオリジナルストーリー。映画の主役であるジョージ・ベイリーの息子で、子役だったホーキンズが演じたトムを主役に、クリスマスシーズンの出来事が描かれている。

 ダグラス・B・ジョーンズは「ニューヨーク・タイムズ」や「ウーマンズ・デイ」紙などでおなじみのイラストレーター。映画のように直接クリスマスに言及している本ではないのだが、ベイリー家に飾られた大きなクリスマスツリーや、雪の街角に飾られたクリスマスリースなど、古き良き時代のアメリカのホームドラマをノスタルジックな画風と色彩で描いている。訳は片岡しのぶ。

サンタになったボタン

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サンタクロースのガールフレンドがサンタクロースの代役として大活躍するのが、わたせせいぞうのコミック絵本『クリスマス・クリスマス・クリスマス ――サンタになったボタン』。1995年に講談社から刊行された本書は、雑誌『モーニング』1995年49号に掲載されたもので、著者は、「サンタ  ママス&パパス」というグループ名になっている。

ボタンさんは、サンタさんの隣りに住む、おせっかい焼きのおばあさん。クリスマス・イヴだというのにサンタさんが起きないので、ボタンさんは自分がサンタの服を着て、プレゼントを持って出かけますが…。

 おせっかいやきだけど、トナカイの橇を引くときも見出しなみをわすれずに口紅をつけ、プレゼントガ足りなくなると得意の編み物で素早く対処し、人生を楽しむ術を心得た素敵なボタンさん。溢れるような色彩の洪水で賑やかなコミックだが、最後は心がほっこりとなるハートウォーミングなお話。

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 翌1996年に雑誌『モーニング』1996年48号に掲載されたコミックが再び単行本『ネオンサンタ クリスマス・クリスマス・クリスマス』として刊行されている。今回も著者は「サンタ  ママス&パパス」だが、表紙にカッコ書きで、わたせせいぞう・いでるりこ・月乃跳生の名前が記載されている。

サンタとボタンが見せてくれる、夜空に美しく輝くネオンサンタの夢と冒険と愛の物語。

 町のネオン飾りのサンタの片思いをなんとかかなえてあげたいボタンは、ギックリ腰になった本物のサンタにかわって、ネオンサンタと一緒にクリスマスイブの夜空を駆け抜ける。何しろネオンたちが活躍するので、前号にまして色鮮やか。ネオンたちの恋物語で、明るく輝くクリスマスの奇跡なのです。

 以上2冊のコミックはすでに絶版のようで、しかもコミックだからか、図書館でも蔵書していないところもあるので(横浜市立図書館にはありませんでした!)、古書店で探してみてください。

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 なかなか見ることができないのが残念なわたせせいぞうのクリスマス本だが、待望の新刊が今シーズンに刊行された。こちらはコマ割りなどない完全な絵本で、2011年1月に竹書房から刊行された『サンタ サンタ サンタ』。絵と文はわたせせいぞうだが、奥付には【この本のお手伝いをしてくれた人と応援してくれた人】の名前がきちんと記載されている。たくさんのスタッフとの共同作業で書き上げる漫画家ならではの気配りだろう。

サンタクロースは本当にいるのか、ふと疑問におもった少年せいちゃんが、クリスマスイブに体験する不思議な出来事。ほのぼのとした乙女チックなクリスマス絵本。絵本なのでコミック仕立ての2冊と比べると絵の数もページ数も少ないが、クリスマスツリーの飾られた室内の場面など、ディテールにクリスマスに寄せる著者の暖かいまなざしがあり、絵の隅々まで飽きずに眺めてしまう。

サンタの博物誌

2011christmas サンタクロースの妻ヨウルマーについて詳しく書いているのが、1995年にアートデイズから刊行された、増田龍治・文/高橋友茂・構成/葛岡博・絵の『サンタの博物誌だ。

初めてのサンタクロース図鑑。クリスマスプレゼントを配り終わったサンタは次のクリスマスまで何をして暮らしているのか。妖精(トント)たちと暮らすサンタクロースの一年が素敵な絵本になった。

この本はオールカラーのイラストが全ページに掲載されており、それを見ると、水彩で描かれたヨウルマーはなかなか知的で物静か、家庭的な女性に見える。趣味は編み物、薬酒作り、料理、そして機械いじりのスピード狂という意外な一面も! サンタクロースが住んでいるというフィンランドのコルバトゥントゥリとその住人、古くから伝わる民話や伝説について詳細なデータとイラストで描いた、興味深い博物誌。人の想像力というのは偉大であると、気づく1冊だ。

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2007年に小学館から刊行された、グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロースの肩書きをもつパラダイス山元・著/監修による『サンタクロース公式ブック ~クリスマスの正しい過ごし方によると、サンタクロースがすんでいるのはデンマーク領グリーンランドということになっている。

本物のサンタさんが正しいクリスマスを紹介

「グリーンランド国際サンタクロース協会」が認定したただひとりの日本人サンタクロースがお届けする、クリスマス・アドバイス・ブック。いかに家庭で心豊かなクリスマスを過ごすか、そのアイデアを紹介します。
パラダイス山元
1962年北海道札幌市生まれ。1998年グリーンランド国際サンタクロース協会より、アジア地域初の公認サンタクロースとして任命される。カーデザイナーとして活躍した後、「東京パノラママンボボーイズ」でCDデビュー。その後、NHKおかあさんといっしょ「たこやきなんぼマンボ」、ピタゴラスイッチ「ピタゴラジョンマーチ」など、子ども番組の作曲・演奏を数多く手がけるほか、入浴剤ソムリエとしても活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 公認サンタクロースというのは、長老のサンタクロースの手助けをするために、厳しい公認試験を受けて選ばれたサンタクロースのことで、2007年現在、世界で120人いるそうだ。
男女平等の社会が確立されているデンマーク、スウェーデンでは、大勢の女性公認サンタクロースがいます。男性サンタクロースの認定条件である体重120キロ以上という規定は適用外。プレゼントのラッピングなど、公認試験の項目も男性とは違います。
 公認試験までしっかりある公認サンタクロース。日本では山元氏ひとりだけだそうなので、初の女性公認サンタクロースの出現が楽しみだ。

サンタのおくさんミセス・クロース

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 女性サンタのお話が登場したので、ここからは女性がサンタクロースとして大活躍するお話をご紹介しよう。といっても、女性サンタそのものは、『サンタのおばさん』以外はなく、サンタクロースの代役としてプレゼントを配る女性たちが主人公となっている。

 まずは、磯田和一の作・絵で『サンタの奥さんミセス・クロース』。

「じゃあ いってきます。あなたは あたたかいシチューを たべて じっと やすんでいるんですよ」

ミセス・クロースは、となかいのそりに のって でかけました。

「きをつけてな。みちに まよわないようにな。じゃあ たのんだよ」

サンタさんは しんぱいそうに みおくりました。(本文より)

 この絵本は1980年に佼成出版社から『ミセス・クロース―サンタの奥さん』で刊行された後、1991年に『サンタの奥さんミセス・クロース』のタイトルで同社から刊行されている。この時に改訂されているかどうかは、初版をみていないのでわからないのだが、いずれも現在は絶版のようなので、図書館や古書店でお探しください。

 日本の作家の絵本だが、物語はあくまでも欧米風のサンタクロース夫婦のお話。クリスマスイブに風邪を引いてしまった夫にかわり、妻のミセス・クロースがプレゼントを配って大活躍。でも、最後に訪ねた家でプレゼントが足りなくなってしまい……という展開は『サンタさんがクリスマスプレゼント』と同じだけど、そこはなんといってもミセス!夫のサンタさんには真似のできないサプライズプレゼントを作ってしまう。このプレゼントの完成品とそれを見つけた子どもたちが描かれていないのが、ちょっと残念。まさか誌面が足りなかったということはないでしょうし、読者の想像にゆだねますというところでしょうか。

サンタのおばさん

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 続いて、今や人気沸騰の東野圭吾のクリスマス本をご紹介。2001年に文藝春秋から刊行された『サンタのおばさん』。といっても、今までの人気作家の短編集とは異なり、60ページほどの小品で、全ページに杉田比呂美の楽しいイラスト(カラーとモノクロが交互に)あり、長編の絵本のような、気軽に楽しめる1冊。

今年もイヴが近づき、恒例のサンタクロースの集会が開かれる。新しく加わった女性サンタを認めるかどうかで会は大騒ぎになるが…

 フィンランドの、ある小さな村で毎年開かれるサンタクロースの集会が舞台。タイトル通り、サンタクロースが始まって以来の初の女性サンタ(サンタのおばさん)の就任をめぐり、議論沸騰。サンタ会議は各国から選ばれた12人のサンタからなるが、会長を務めるアメリカ代表のサンタは今年限りで引退。そこで次期アメリカ代表サンタ候補として登場したのが、サンタのおばさんこと、ジェシカだった。各国代表のサンタは、「白い髭、白い眉、赤い外套、赤いズボン」という標準スタイルをクリアできない女性サンタについて、語り合う。オセアニアサンタはアフロシャツ(ただし赤色)でサーフボードに乗ってプレゼントを配るし、アフリカサンタは暑いので外套やズボンを免除され赤いケープを羽織っているけれど、色はライオンを刺激する赤ではなく、周囲の自然に溶け込む緑でよいとなっている。そんな例外の設定も面白いし、規則に厳しいドイツサンタや、女性に甘いイタリアサンタ、博学のオランダサンタと、それぞれのお国ぶりを反映するサンタも愉快だ。日本サンタももちろんいるが、「ゲーム機だけを配れば良いから楽じゃないか」と嫌みを言われて顔をしかめたり、「我が国では父親の地位が失墜している」と熱弁をふるったりしている。これには苦笑するしかない。

 さて、女性サンタはどうなるのか? 後半にはジェシカのプライベートなクリスマスも絡ませていて、読んでのお楽しみとなっている。著者が日本人なので、宗教臭を排除したサンタクロース会議となっているが、サンタクロースの歴史や決まり事なども短くまとめられているので、サンタクロース入門として読んでみるのも面白い。

異国のおじさんを伴う

03462410  森絵都の短編集『異国のおじさんを伴う』の中の「クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の……」は、これも大人のファンタジー。しかもぐっと現実味を帯びていながら、ファンタジーのエスプリが効いていて、軽やかで口当たりが良く、クリスマスに飲みたい上等なシャンペンのようだ。

思わぬ幸せも、不意の落とし穴もこの道の先に待っている。どこから読んでも、何度でも、豊かに広がる10の物語。誰もが迎える、人生の特別な一瞬を、鮮やかにとらえる森絵都ワールド。

 「クリスマスイヴを三日後に控えた日曜の……」は初出が「オール讀物」2008年1月号で、『異国のおじさんを伴う』はすべて「オール讀物」に掲載された短篇を集めて、2011年10月に刊行されている。できたてほやほや、今を反映させた短編集だ。余分なものを削り落とした短篇は、物語のいいとこ取りというか、美味しいエッセンスを集めた濃縮味。自分好みの味を見つけるとやみつきになり、次から次と味わずにはいられなくなる。この短編集のタイトルにもなっている「異国のおじさんを伴う」も面白かったし、そのイメージから撮影されたのであろう、表紙の巨大なベアー人形に惹きつけられて本を買ってしまったことも、お見通しのとおりでございます!

聖夜の贈り物

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 村上春樹の絵本と翻訳によるクリスマス本をご紹介したので、同じ日本人小説家によるクリスマス本をご紹介していこう。ここ数年、絵本ばかりご紹介していたので、絵本以外のクリスマス本がたまっている。

 まずは、2007年に太田出版から刊行された百田尚樹・著『聖夜の贈り物』

恵子はクリスマス・イブに、長年勤めてきた会社から解雇を言い渡された。人のことばかり考えていつも損をしている恵子は、この日もなけなしのお金を、ホームレスにめぐんでしまう。ホームレスは「この万年筆で願いを書くと願いが三つまでかなう」と言って一本の鉛筆を恵子に渡すとニヤリと笑ったのだが…。不思議な鉛筆をめぐって起こる奇蹟を描いた『魔法の万年筆』ほか、5人の女性たちをめぐる心揺さぶるファンタジー。

 カーヴァーとは対局の短編集というか、クリスマスのロマンチックな物語が5篇おさまっていて、どれも読みやすい。すべて主人公は女性で、しかも皆、辛い状況下でクリスマスを迎えようとしている。でも、お約束通りlovelyクリスマスの奇跡によって、読者の願いが届くかのように、希望の明かりが灯される――こう書くと、甘い、甘い、クリスマスケーキより甘いロマンス物と思われてしまうかもしれないが、ちょっと違うのだ。あまりにも甘々でご都合主義のあざといロマンス物は、たいがい途中でうんざりして読み通すことができない。でも、この短編集は、美味しいデザートを少しずつ楽しむような気分で、それぞれのファンタジーを味わえるし、読後感もさわやか。現実離れしたお話ばかりだけど、もともとクリスマスそのものがファンタジーだから、だれもがその夢に酔いたい願望を秘めている。そういう気分を満喫させてくれる1冊。

夜になると鮭は…

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 レイモンド・カーヴァー・著/村上春樹・訳の『夜になると鮭は…』は、1985年に中央公論社から刊行されていて、私が読んだのは1988年刊行の中公文庫。この中に収められている短編のひとつに「クリスマスの夜」がある。

村上春樹の名訳によって、ぼくらがその存在を知ることになったレイモンド・カーヴァー――彼は、ジョン・アーヴィングと並んで、まぎれもなく80年代アメリカの文学シーンを代表する作家である。アーヴィングがはてることを知らぬ饒舌な長編作家であるのに対して、カーヴァーは一瞬のイメージのきらめきを切り取る短篇作家・詩人である。(文庫カバーより)

 村上春樹+クリスマスで検索して本を探したときに、この『夜になると鮭は…』がヒットし、慌てた。読んでいない本である。でも、文庫本用の書棚に、たしか入っていた本だ。いつ買ったのか、なぜ読もうと思ったのか、まったく思い出せない。1988年の文庫本ということは、弟がまだこの家にいたときに読んで、そのまま置いていった本なのだろうか? すると、23年間も書棚に眠っていた本ということになる! とにかく読んでみようと、レイモンド・カーヴァーについてなにも知らないまま、「クリスマスの夜」のページをめくっていった。

 新鮮な驚き! わけのわからないままカーヴァーの物語世界に引き込まれ、あれよあれよという間に魅了され、そしてぽいと投げ出された感じ……その不思議さがまた妙に心地よく、ほかの短篇や詩も読んでみたくなる。登場人物の設定も、状況説明もないまま始まり突然終わるお話。読み進む中で様々な謎が解け、また謎が絡み合い、不思議なハーモニーが奏でられる。「クリスマスの夜」なんていうタイトルから想像した、甘くロマンチックなものは何も出てはこないし、読後感が良いのかと聞かれれば答えに困ってしまうのだが、でもやっぱりこれはクリスマスの夜という設定だからそこいっそう映える(という表現は変かな? 己の語彙の貧しさにへこみますが)ストーリーなのだ。今までご紹介してきたクリスマス本の中で、ダントツに洗練された小説、大人の物語ということだけは言える。

カポーティ+村上春樹

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 村上春樹が翻訳したトルーマン・カポーティ著の「イノセント・ストーリー」シリーズの中から、クリスマス本を2冊紹介しよう。挿画はいずれも山本容子の銅版画。

 まずは1990年に文藝春秋から刊行された『クリスマスの思い出』。

ささやかな、けれどかけがえのないクリスマス。画と文がともに語りかけるシリーズ最終巻はカラー頁を加え、より美しく、愛らしく

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 『クリスマスの思い出』の姉妹本ともいえる『あるクリスマス』の邦訳は、1989年に文藝春秋から刊行された。物語の内容を時系列的にいえば邦訳版の刊行順序のように、『あるクリスマス』が主人公の少年6歳のときの話で、『クリスマスの思い出』はその翌年の話になる。だが原作は逆で、邦訳の奥付によれば、『クリスマスの思い出』は1956年に書かれ(1984年に改訂)、その26年後の1982-83年に書かれたのが、『あるクリスマス』ということになる。
父さんと過ごした最初で最後のクリスマス。『あるクリスマス』の前年、トルーマン・カーポティは父を失っている。触れあうことの少ない父子だった。カポーティ自身、すでに酒とクスリに蝕まれていた。この作品の翌々年、彼はこの世を去る。最後にみる夢、だったのかもしれない。
 どちらから読むか、どちらのお話が好きかは、人それぞれだろう。どちらから読んでも、話が混乱することもないし、読後感に大きな影響もないだろう。どちらもカポーティー自身の子ども時代を主人公バディに反映させた物語で、過ぎ去った幼い日々への郷愁と、自分を慈しんでくれた人への愛惜に満ちている。私は『あるクリスマス』のほうがより強く心に残った。離れて住む父子が初めて一緒に過ごすクリスマス。父を憎み、反発し、侮蔑するしかできない幼いバディが、父と別れるときに初めて感じた痛み……親であり子であることの哀切……クリスマスの華々しさの影で、そんなことに気付かせられる物語だ。
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 このクリスマスをテーマにした2編とその他4編が収められているのが、イノセント・ストーリーズとよばれる短編集『誕生日の子どもたち』が2002年に、文庫版は2009年に文藝春秋から刊行されている。
少年や少女の無垢さ=イノセンスをテーマにして描かれた物語を収録。純粋で強く美しく、きわめて脆く傷つきやすく、また毒を含んで残酷なカポーティの6編の短編小説を、村上春樹が訳出。

急行「北極号」

51wkhz2gyvl__sl500_aa300_ 『羊男のクリスマス』に続いて、村上春樹が翻訳したクリスマス本を紹介していきたい。まずは絵本『急行「北極号」』から……と思っていたのに、注文していた肝心の絵本がまだ届かない。到着して読み次第、更新します。しばしお待ちをm(_ _)m

 やっと絵本が到着。

   クリスマスイブの夜、眠らずにサンタクロースを待っていたひとりの少年が、ほかの子どもたちと一緒に北極点への旅に出る――これ以上に魅力的でエキサイティングな絵本の設定など考えられないだろう。そのうえ、そんな物語を描く作家には、クリス・ヴァン・オールズバーグ以上に才能ある芸術家は望みようがないだろう。彫刻制作の気晴らしとして、軽い気持ちで絵本を描きはじめた彫刻家のオールズバーグは、本書『The Polar Express』(邦題『急行「北極号」』)で1986年のコルデコット賞に輝いたのをはじめ、絵本で数々の賞を受賞している。この『The Polar Express』には、生命力と不思議が響きわたっている。

 オールズバーグの絵と文によるこの絵本は1987年に河出書房新社から村上訳で刊行されたのち、2003年にあすなろ書房から刊行されている。トム・ハンクス主演で「ポーラー・エクスプレス」というタイトルの映画にもなっているが、絵本の持つ静謐で幻想的な世界を思うと、映画はまったく違う作品と考えたほうがよいだろ(映画は未見ですが……)。

 クリスマス・イブの深夜、本のタイトルにもなっている北極号という名の汽車が、サンタを待つ少年の家の前に現れる。幻想的な汽車の旅というと、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』や、『ハリー・ポッター』シリーズの魔法学校へ行く蒸気機関車などが思い浮かぶ。そのため、ついつい、すでに使われている手法と思ってしまうが、『ハリー・ポッター』は本書が刊行された後の1997年の刊行だし、アメリカ人のオールズバーグが『銀河鉄道の夜』を読んでいたかどうかはわからない。ただ、日本の読者にはこれらのイメージが強いので、クリスマスと汽車という珍しい組み合わせが、あまり印象に残らないのではないかと思う。

 彫刻家という側面をもつオールズバーグの絵はとても写実的で緻密。物語も“生真面目”といっていいくらい、整然と進む。ビジュアル的に美しい絵本だが、少年が主人公の幻想的なお話なので、もっと遊びがあってもいいのではと思うくらいだ。でも、物語の最後に心が鷲づかみにされてしまうフレーズが……。少年が欲しかったトナカイの鈴。その鈴の音が聞こえる大人は、はたしてどのくらいいるのだろう。私は聞こえるような気がするけれど、それは願望が聞かせる幻聴で、本当は聞こえていない。ちょっと残念。

ねずみとひつじ

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 もう1冊、親切な雪だるまが登場する佐々木マキの絵本が、『ねむいねむいねずみのクリスマス』。PHPから刊行され、1982年から1989年まで14刷のあと改訂版がでているようで、私が読んだのは2009年の改訂版25刷。この旅する“ねむいねむいねずみ”はシリーズ物となっているので、幼い読者に長い間愛され続けてきた絵本のようだ。

ねむいねむいねずみが、雪の夜道を旅しています。ねむくて凍え死にそう。すると天の助けか、1台のそりがとまっていました。なんとサンタクロースのそりだったのです。

 表紙絵のまぶたの閉じかけたねずみの顔をみただけで、こちらまで眠くなってきそう……。でも、夢の中でおかあさんに会ったときや、ネコに追いかけられたとき、雪だるまからクリスマス・プレゼントをもらったときは、大きな目を見開いて喜怒哀楽をしっかり表現している。ねずみはいつも布包みを杖に通して担いでいるけれど、このスタイルって昔の外国マンガではよく見かけた。ディズニーの初期の漫画にもこのスタイルがあったようなきがするし、中世の遍歴(放浪)職人のようでもあり、旅行鞄でもリュックサックでもないところが、いかにも流離いの旅のイメージを広げ、印象的だ。

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布包みを杖に通して担ぐかわりに、ドーナツを詰め込んだナップザックをかついで旅にでたのが、村上春樹・著/佐々木マキ・絵の絵本『羊男のクリスマス』。1985年に講談社から刊行。ここには『ねむいねむいねずみのクリスマス』に登場する雪だるまも再登場している(ネズミにプレゼントしたニンジンの鼻は新たにつけたのか?)。

『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』で絶妙のコンビを組んだ村上春樹と佐々木マキの、5年越しの夢が実現された、念願の書下し絵本。なつかしい羊博士や羊男、双子の女の子も再登場!

 佐々木マキは村上春樹の小説のカバー挿画を数多く描いているが、絵本であるだけに、佐々木マキの絵のウエイトは、それまでとは比べものにならないくらい大きく、摩訶不思議な村上ワールドが展開されている。まるで自分の夢が絵本になったかのような錯覚に陥ってしまうような絵本だ。作り話、あり得ないこととわかっていながら読み続けずにはいられないのは、眠りながら「これは夢なんだ」と自覚しつつ、夢を見続けている感覚に似ている。そして無償にドーナツが食べたくなる絵本でもある。

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 『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険

の、いわゆる村上春樹の青春三部作といわれている小説を読んでからこの絵本を読むと、いっそう味わい深いものになると思うが、残念ながら、私は3作とも読んでいないので……この不思議な作品の原点が知りたい、読んでみようかなと思ってしまった。

 あっ、それから佐々木マキさんは、名前から女性だと思い込んでしまう人もいるかもしれませんが(私がそうでしたbleah)、絵のタッチからわかるように、男性です。

ゆきだるまのクリスマス

 アン・グットマンとゲオルグ・ハレンスレーベン夫妻と同じく、夫婦で描いた素敵なクリスマス絵本が51efvzkfp3l__sl500_aa300_ 、キャラリン・ビーナー文/マーク・ビーナー絵/せなあいこ訳で2006年に評論社から刊行された『ゆきだるまのクリスマス

クリスマス・イブには雪だるまたちが集まって、ごちそうを食べたり、歌をうたったりするって知ってた? 雪だるまの秘密がのぞけるクリスマス・イブにあなたをご招待! ページの中にウサギやサンタが隠れている楽しい絵本。

 この絵本もハレンスレーベンの『クリスマスにやってくるのは?』と同じく、表紙絵に物語り世界を感じて手に取った1冊だ。とはいっても、『クリスマスにやってくるのは?』が静の魅力なら、こちらは動の魅力というべきか(じっさい、ゆきだるまたちは真夜中の町中を疾走するのだけど!)、色合いも明るく鮮やか。

 人が寝静まった真夜中に雪だるまたちが集まってクリスマスパーティーを楽しむのだが、夜なのでイルミネーションの美しさが強調されている。しかも、雪だるまの球体に明かりが反射して、なんだかまぶしくなってくるような明るさに満ちた本だ。構図も3Dを意識しているのか、ページごとに下から見上げた絵や上から見下ろしている絵や、とっても立体的に描かれていて、映画のワンシーンをつなげたフィルムブックのような趣がある。

 そのうえ、すべてのページに小さなネズミや、ネコ、ウサギ、サンタからティラノサウルスまで、隠れていて、それを見つけるのも楽しい。子どもと一緒に楽しめる絵本だ。

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ビーナー夫妻の絵本の原作タイトルは“SNOWMEN AT CHRISTMAS”だが、邦訳と同じタイトルの絵本がもう1冊ある。佐々木マキ作の『ゆきだるまのクリスマス』で、ビーナー夫妻より早い1991年に福音館書店から刊行されている。

ちょっとぬけているけれど、気のいい三人のゆきだるまが、まいごの子猫をたすけます。おかげでゆきだるまたちは、思いがけなく楽しいクリスマスをすごすことに……。

読んであげるなら:3才から、自分で読むなら:小学低学年から

 手のひらサイズの小さな絵本で、佐々木マキらしい線描が強調されたちょっとマンガチックな絵が楽しい。マーク・ビーナーのように凝った構図やまばゆい色彩もなく、淡々としたストーリーなのだが、なぜか、読み終えたときに涙が滲んだ。迷子の子猫は親切なゆきだるまたちに抱かれて飼い主をさがすのだけど、ワガママを言って泣きわめくばかり。でも、どんなに泣かれてもワガママを言っても、ゆきだるまたちは穏やかに優しく子猫を抱きしめて見守る……まるで人と神、子と親の姿を見るかのようで、自然と涙がでてきたのだろう。小さな子ども向けに作られた楽しい絵本だけれど、様々なことを考えさせられた。

ぐりとぐら

 フランスを代表する名コンビがアンとゲオログの「リサとガスパール」なら、日本を代表する名コンビは、間違いなく、なかがわりえこ(中川李枝子)とやまわきゆりこ(山脇百合子)の姉妹が産みだした「ぐりぐら」だろう。どちらも多くのシリーズを持ち、愛され続けている名コンビではあるが、青い服と帽子のぐり赤い服と帽子のぐらは、双子の野ねずみと、わかりやすい素性(!?)だ。

41xp3d6ts3l__sl500_aa300_  クリスマスをテーマにしたぐりぐらのシリーズは、『ぐりとぐらのおきゃくさま』。ゲオルグ・ハレンスレーベンの誌面いっぱいに、塗りつぶすように絵の具を重ねる絵とは対照的に、山脇百合子の絵はシンプルな線描で余白をいかして描いている。

   ぐりぐらが見つけた大きな足跡をつけていくと、そこは自分たちの家。玄関をあけると大きな長靴があり、壁には金ボタンのついた真っ赤なオーバーと、真っ白なえりまきがかかっている。帽子に靴下に大きな袋。ベットルームやお風呂場をみてもお客さまはいないみたい。すると、そのとき「ああ、いいにおい!」

 1966年に福音館書店の月刊誌「こどものとも」に掲載され、翌67年に傑作集として刊行され、今も読み継がれているこの絵本は、親子2代のファンもいるのではないだろうか。大きな足跡は、もちろん、あの人のもの……。最後のページには、「いいにおい」に誘われてぐりぐらの家に集まりパーティを開いている友だちたちが描かれているのだが、なんと、熊やライオンに混じって、ピンクのフラミンゴらしき鳥が、ここにもいるではないか!   

リサとガスパール

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 アンとゲオルグのもうひとつのシリーズ「リサとガスパール」も大人気らしく、数十種類の絵本があるようだが、クリスマスがテーマの絵本は 『リサとガスパールのクリスマス』と『リサとサンタクロース』の2冊で、どちらも石津ちひろ訳でブロンズ新社から刊行されている。

リサとガスパールのクリスマス』は2000年に刊行されてから現在まで版を重ねている。

わたしリサ。きょうはガスパールとまちをおさんぽ。もうすぐたのしいクリスマス。まちはキラキラ! きぶんはウキウキ! リサは仲良しのガスパールと、バラディせんせいのプレゼントを考えたんだけど…。

 19.4 x 19.2 ㎝の小さな判型で、色使いも「ペネロペ」と比べると一ひねりも二ひねりもあるような上級テクニックが見せるニュアンス。フランス生まれの絵本らしくおしゃれだ。そして雪の降る街角の風景など、やはり茂田井武の「ホフマンのくるみわりにんぎょう」とよく似ている。

 リサとガスパールは犬だと思っていたのだが、なんと、“、ウサギでも犬でもない未知の生物”だった……まぁ、ムーミンがカバではなくて妖精だったことを知ったときより衝撃は小さいが……二人はちゃんと学校に通っているので、ペネロペより少し大きい小学生向けの絵本なのだろうが、リサとガスパールの設定ややりとりもなかなか興味深く、大人をも“虜”にしているに違いない。

51ok8nrmhml__sl500_aa300_  2007年に刊行されたのが『リサとサンタクロース』。ガスパールはどうしたの?と、心配するガスパールファンの皆様、ご安心を。「リサとガスパールのおおがたえほん」というサブタイトルがついている通り、ガスパールもちゃんと登場する。こちらは『リサとガスパールのクリスマス』よりぐっと大きな絵本で、『リサとガスパールのクリスマス』のくすんだニュアンスがおしゃれな色使いと比べ、明度の高い明るさに満ちている。

 クリスマスに ふたりでおかしをつくっていたら ガスパールが きゅうに いいだした「きょねんのくりすますに ぼく サンタクロースを みたよ!」「わたしだって サンタさんを みたわ!」

 ここから始まるふたりのほら吹き合戦が楽しい。リサの描くサンタさんのおうちの素晴らしさ!豊かな感性、あふれ出る想像力が描く憧れいっぱいの夢の世界……こういうの、大好きだ。それにしても、南国のフラミンゴはなぜここに??? こたえはフラミンゴはピンクだから……ではだめかな?だって、おしゃまなリサって女の子そのものだから。可愛ければ、それでいいじゃない?

 

メリークリスマス、ペネロペ!

 毎年、クリスマスシーズンに書店を訪れるたびに見かけていた、「ペネロペ」や「リサとガスパール」の絵本の作者がハレンスレーベンだったとは! キャラクター物についてはほとんど知識がなかったので、『クリスマスにやってくるのは?』とはちょっと雰囲気が異なる、おしゃれで可愛らしい絵本の作者が同一人物と知って驚いた。

41nz9h8y8vl__sl500_aa300_ 「ペネロペ」と「リサとガスパール」は、ハレンスレーベンと彼の妻であるアン・グットマンのコンビでたくさんのシリーズが出ているが、クリスマスをテーマにしているのは、ひがしかずこ訳で2005年に岩崎書店から刊行された『メリークリスマス、ペネロペ!』だ。

 赤と緑のクリスマスカラーが印象的なとっても明るく鮮やかな色彩の中にたたずんでいるのが、水色のペネロペ。子熊? 子猫? なんだろうと思っていたら、コアラだった!ペネロペ一家の楽しいクリスマスパーティーの様子を、“たのしいしかけえほん”仕立てで描いている。小さな子どもが実際に動かして楽しめるようにできているので、複雑な仕掛けはないが、たくさんのクリスマスプレゼントをあける楽しみや、パーティの中で起きる思いがけないアクシデントとか、なかなか楽しい。乱暴にあつかったらすぐに壊れてしまいそうだが、仕掛けがなくても、大判の絵本いっぱいに描かれているペネロペの可愛らしい姿を堪能できるし、ペネロペを通して、小さな子どものクリスマスへの思いが伝わってきて心がほっこりしてくる。

クリスマスにやってくるのは?

51t3o7gbfdl__sl500_aa300_  絵に心惹かれた絵本をもう1冊ご紹介しよう。ネット書店をさすらっているうちに、表紙絵を見ただけで強く惹かれたのが、2010年にBL出版から刊行された、K・バンクス作/G・ハレンスレーベン絵/いまえよしとも(今江祥智)訳の『クリスマスにやってくるのは?』

ゆきがふりつもるなか、なにかがそこまできている。クリスマスのうたごえが町にひびくなか、なにかがそこまできている。それは…。ケイト・バンクスの詩的な文とゲオルグ・ハレンスレーベンが描く美しい絵がしあわせなクリスマスを届けます。

 本の内容も作者もわからないまま、いわゆる“ジャケ買い”をしてしまったのだが、絵本ではこのジャケ買いというのはとても大切なことだと思う。上手い言葉が見つからないのだが、なんというか、表紙をみただけで“物語世界”を持っている絵本というのが伝わってくる、そういう絵本だからこそジャケ買いをしてしまうのだ。この絵本も、疑問形のタイトルといい、ツリーに飾り付けをしている室内を窓から覗く構図といい(しかも窓枠はサッシではなく、白いペンキを塗った木製の窓枠だ、きっと!)、表紙絵だけでわくわくするようなクリスマスの物語を予感させてくれる。

 実際にネット書店から届いた絵本を手にとって見て、一目惚れのジャケ買いをした理由がわかった。どことなく、茂田井武の絵と似ているのだ。

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 河出書房新社のランプの本『思い出の名作絵本 茂田井武』の表紙は、1953年にキンダーブックに描かれた「ほふまんのくるみわり人形」だが、“素朴な詩情”と賞される茂田井の絵と、1958年生まれのドイツ人画家のハレンスレーベンの絵は、洋の東西や時代を超えて、ノスタルジックな優しさ、暖かさに満ちて見る人の心をつかんでしまう。『クリスマスにやってくるのは?』に登場する少年少女がみな黒髪に黒い瞳で描かれ、どことなく日本人のようでもあり、茂田井を連想させるのかもしれない。ヨーロッパの作家が作った絵本なのに、おかしな話だが“バタ臭く”ないのだ。バンクスの文も、タイトルからは「サンタクロースでしょ!」と言いたくなるのだが、それだけではない詩情が漂っている。

 さらに嬉しいサプライズは、大好きな絵本『目をつむるのよ、ぼうや』の作者が、バンクス・ハレンスレーベン・今江のトリオだったこと!

51qsysdh3zl__sl500_aa300_ 眠りたくないとむずかるトラのぼうや。目をつむったら、広い海の夢だって、どんな色の鳥だって見えるのよ。お母さんがゆったり優しく語りかけるおやすみ絵本。2002年『ニューヨークタイムズ』子どもの絵本ベスト10入選。

 お気に入りのふかふか毛布にくるまって、大人もぬくぬくと眠りたくなるような絵本。クリスマス物語ではないけれど、クリスマスプレゼントにおすすめしたい1冊だ。

 そして、さらにハレンスレーベンは有名な絵本の作者だったことが判明!

«サンタさんがクリスマスプレゼント

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プロジェクト一覧


  • 東日本大震災直後に全国で立ち上がった「被災地へ絵本を送ろう」プロジェクトには、多くの本と善意が寄せられ、現在はそのほとんどが本の受付を終了しています。ここでは、現在も被災地へ寄贈する本を募集しているプロジェクトと、本や関連品の寄贈のために寄付金を募っているプロジェクトをご紹介します。
  • HUG & READ、もっとハグしてあげよう、もっと読んであげよう
    作家の落合恵子さんが主宰するクレヨンハウスが出版している絵本と、寄贈者から送られた絵本を中心に、「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」と協力して被災地に届けます。絵本を必要としている被災地からの情報も募集中。
  • 一箱本送り隊
    各地のブックイベント団体が協力体制を組み、絵本だけでなく、一般書籍を箱に入れて被災地へ送るプロジェクト。「必要とされているところに届ける」を基本とし、「ここで、こんな本が必要です!」という被災地からの情報も広く募集中。
  • 学校図書館げんきプロジェクト
    東日本大震災で被害を受けた学校に図書を寄贈する活動を中心に、学校図書館の復興をソフト・ハード両面から支援しています。被災地の学校が希望する新しい図書を地元の書店で購入して寄贈するため、寄付金を募っています。
  • 東日本大震災の被災地の子供達に絵本と画材を!(3.11こども文庫設立プロジェクト)
    絵本の受け付けは停止中です。車による移動文庫「こばこ文庫」や「3.11こども文庫設立プロジェクト」を展開中で、寄付金を募っています。
  • 3.11絵本プロジェクトいわて
    本の受け付けは終了しました。「えほんカーを被災地へ」プロジェクトで、えほんカー購入のための寄付金を募っています。
  • 絵本エイド―こころにひかりを
    本の受け付けは終了しました。株式会社絵本ナビで獲得したポイントを寄付できる「絵本エイド」の活動などが2012年3月末までおこなわれています。
  • こどもとあゆむプロジェクト
    現在、絵本などの受け入れは一時停止中です。絵本を収納するための本棚を被災地に寄贈する、「本棚プロジェクト」で寄付金を募っています。
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My Works

  • 河田昌東・藤井絢子: チェルノブイリの菜の花畑から〜放射能汚染下の地域復興〜

    河田昌東・藤井絢子: チェルノブイリの菜の花畑から〜放射能汚染下の地域復興〜
    チェルノブイリで起きたことはフクシマでも起きる……編者らは長年にわたり、チェルノブイリ原発事故被災地の救援を手がけ、2007年から土壌浄化、農地再生をめざす「ナロジチ再生・菜の花プロジェクト」に着手。これまでの成果と課題、さらに日本の菜の花プロジェクトの取り組みについても報告。放射能汚染のもとでの地域復興への教訓、手がかりを探る。 (★★★★★)

  • 内村悦三/監修: 現代に生かす竹資源

    内村悦三/監修: 現代に生かす竹資源
    ややもすれば放置された状態のままのタケ・ササ。近年、足もとの有効資源として注目されている。鹿児島県における取り組みを主にタケ・ササの伝統的利用例、今日的な用途例、課題などをリポート。竹資源の利用価値と可能性を全国に発信する。創森社より09年9月刊行 (★★★★★)

  • 藤井 絢子 編著: 菜の花エコ事典〜ナタネの育て方・生かし方〜

    藤井 絢子 編著: 菜の花エコ事典〜ナタネの育て方・生かし方〜
    菜の花を栽培し、搾油したナタネ油を食用、バイオ燃料、せっけんに──琵琶湖のほとりから始まった菜の花プロジェクトは、列島各地に共感のネットワークを形成。プロジェクトのシンボルである菜の花とナタネへの理解をより深めるため、菜の花の素顔(品種、生育・生態、有用性、栽培小史)を明らかにし、ナタネの育て方、収穫・乾燥、搾油法、生かし方、楽しみ方を具体的にわかりやすく解説する。 創森社より2011年1月刊行。 (★★★★★)

  • 片山 ふえ: オリガと巨匠たち―私のウクライナ紀行

    片山 ふえ: オリガと巨匠たち―私のウクライナ紀行
    「鉄の女」オリガに導かれ、西ウクライナ、リヴィウへ旅に出た著者が、18世紀以来、謎に包まれてきた彫刻家ピンゼルの作品と出合い…。ウクライナの歴史と文化を伝える良質な旅行記。特にピンゼルを日本で初めて紹介したレポートは必読! 2010年9月、未知谷より刊行。 (★★★★★)

  • 片山 通夫: 追跡! あるサハリン残留朝鮮人の生涯

    片山 通夫: 追跡! あるサハリン残留朝鮮人の生涯
    2010年8月22日は「日韓併合」100年。本書は日本の植民地統治が生んだ「一家離散の物語」を、家族の記憶や多くの資料・証言で再構成したノンフィクションです。「二重徴用」「急速転換」「逆密航」を語る貴重な証言だとも言えます。10年に及ぶ粘り強い取材から生まれた労作です。 2010年8月、凱風社より刊行 (★★★★★)

  • 杉谷 保憲: 京たけのこが教えてくれた―放置竹林の喜怒哀楽

    杉谷 保憲: 京たけのこが教えてくれた―放置竹林の喜怒哀楽
    私が竹林に入ったわけ、京たけのこのおいしい理由、竹林が生み育てた日本文化、タケが教える環境と文明の明日……放置竹林を整備する「竹の学校」のボランティアたちの喜怒哀楽を綴る、エッセイ集。「京都たけのこの栽培ごよみ」も掲載。 2010年4月、京都新聞出版センターより刊行 (★★★★★)

  • 今井 政之: 今井政之作品集

    今井 政之: 今井政之作品集
    土と炎の芸術家、今井正之の作陶人生に迫る豪華作品集。日展初入選作から近作まで、代表作を中心に約200点をオールカラーで掲載。その他、制作風景、エッセイ、豪華執筆陣による充実の評論。B4変型判、276ページ、本体価格38,000円。ビジョン企画出版社より09年5月刊行。 (★★★★★)

  • 上村淳之画集
    鳥と暮らし、語らい、慈しむ。自然の偉大さ、崇高さを静謐な世界に消化させた、現代花鳥画の巨匠、上村淳史。その初期から近作まで、代表作を中心にカラー図版188点、モノクロ図版105点を掲載。B4変型判、293ページの豪華画集。本体価格38,000円。ビジョン企画出版社より08年10月刊行。 (★★★★★)
  • 木村 元彦: 蹴る群れ

    木村 元彦: 蹴る群れ
     世界20数ヵ国を7年にわたり丹念に取材。独裁、革命、内戦、移民、貧困......現代史に散りばめられたこれらの言葉に我が身を晒しながらも、時代に抗い、誇りを持って闘うフットボーラーたちを描き切った、感動のヒューマンドキュメントです。 (★★★★★)

  • よしもと ばなな+パトリス・ジュリアン: News from Paradise—プライベートフォト&エッセイ

    よしもと ばなな+パトリス・ジュリアン: News from Paradise—プライベートフォト&エッセイ
    ふたりの2年間にわたる往復書簡集。プライベートフォトも満載。表紙の可愛い少年少女は誰でしょう? 若山嘉代子によるブックデザインは、「デザインの現場」2005年10月号(美術出版社)の「編集部が薦めるジャンル別ブックデザイン・ガイド」で紹介されました。 (★★★★★)

  • 栗原 英次: いろはにコンペイトウ—Kurihara Toy Bottle Collection

    栗原 英次: いろはにコンペイトウ—Kurihara Toy Bottle Collection
    アンティークのガラスの金平糖壜を写真とエッセイで紹介。装幀・山口信博と写真・小泉佳春によるビジュアルの美しさをご堪能ください。コレクションのエピソードや金平糖の歴史などのエッセイも充実。和ガラスコレクターでもあるミュージシャンの坂崎幸之助さん(The Alfee)が、帯にコメントを寄せてくださいました。 (★★★★★)

  • パトリス ジュリアン: 物語の主人公になる方法—Special Edition

    パトリス ジュリアン: 物語の主人公になる方法—Special Edition
    ライフスタイルプロデューサーとして新しいスタートをきったパトリスのライフスタイルをテーマにしたエッセイ。夢を実現させるための具体的な方法をシンプルにわかりやすく教えてくれる。 (★★★★★)

リンク

  • ムーザの小部屋
    『オリガと巨匠たち――私のウクライナ紀行』に登場するウクライナの画家オリガ・ペトローワと謎の彫刻家ピンゼルの作品と情報が満載のブログ。
  • 609studio
    『追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯』の著者でフォトジャーナリストの片山通夫さんのサイトです。
  • 凱風社の書籍案内
    『追跡!あるサハリン残留朝鮮人の生涯』の版元。
  • Publisher Michitani 未知谷のホームページ
    『オリガと巨匠たち――私のウクライナ紀行』の版元。
  • 創森社ホームページ
    『現代に生かす竹資源』の版元。食・農・環境分野を主とする書籍&雑誌の出版社。

あなたの人生を豊かにする一冊が、見つかりますように!

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